松村北斗という拗らせ人見知り男の話
おはにです。
恥の多い生涯を送ってきました。
人間失格を読んだことがある同世代は、意外と多い気がしています。
一時期は「読むと鬱になる」なんて話題になってましたね。
昔も今も、人間関係って本当に難しい。
皆そうだと思いますが、誰もが散々人に裏切られ、絶望した経験があると思います。
そういったことを経て、それぞれに対人の心得があるように、私にもささやかに編み出した策はあります。
例えば、悪意に気づいてもあえて無邪気で鈍感なフリをしたり。
「信頼してる」って先手を打ったり。
気が合わない人からは何も言わずフェードアウトしたり。
自分を守る為に取る行動は人それぞれでしょう。
ここでようやく松村北斗という人物の話になるのですが、彼は誌面でも時々話してくれるように、「自分に向けられた興味関心を一度突っぱねてみる」ことで自分を守る人です。
『人からの誘いもまずは断る。
だって社交辞令かもしれないから。』
それはつまり裏を返せば、誰が相手だろうと「自分を誘ってくれた」のは彼にとって喜ばしいということですよね。
でも、それに喜んでみせて「冗談だったのに」「社交辞令だよ」「本気にしちゃって」と手の平を返される、あるいは相手を困らせることを怖がっている。
きっと、どこかでそういう経験をしたのでしょう。
もしかしたら、何度も、繰り返し。
そして、そういった場面で「ありがとうございます」と適当に受け流すことは、北斗くんには難しかったんだと思います。
北斗くんって、想像以上に素直な子ですよね。
褒められれば嬉しい。
貶されれば悲しい。
恋人に浮気されれば、「そうですか」と引く。
あまりにも真っ直ぐで、人の言ったことを言葉通り受け取ってしまう彼は、お世辞を口にできるほど器用でもない。
そんな彼の防衛術は100%褒められた方法ではありませんが、1回の牽制で退く相手ならその方が手っ取り早く、傷も浅くて済みます。
そこに至るまでに、裏付けるような経験があったのかどうかは定かではありませんが。
彼もまた大勢のように、自分が傷つかないように必死だったのだと思います。
特にバカレア組でのデビューのチャンスを逃してからは、より一層その思いは強くなったんじゃないでしょうか。
かつての彼の夢は周りの大人によって操られていました。
ざっくりした枠で話せば今も状況はそうかもしれませんが。
2度目のユニット解体は、当時10代の男の子が背負うには大きすぎる傷だったかもしれません。
「グループのセンターで歌って踊るアイドル」に本気でなりたかったからこその絶望。
シンメであった髙地優吾と組んだことがトラウマになるほどの。
少しゆごほくに話は逸れますが、あの日選ばれなかった2人が持っていた苦しみは全くの別物です。
「キラキラしたアイドルになりたかった」北斗くんの苦しみ。
「アイドルになりたい訳じゃなかった」高地くんの苦しみ。
そして、髙地くんが「ほうっておけない」という理由でデビューのチャンスを一度蹴ったという事実は、私は個人的に真逆の二面性を持っていると思っていて。
ひとつは、本来なら北斗くん1人が選ばれなかったかもしれない未来を、2人が選ばれなかった、2人の失敗に変えた髙地くんの優しさ。
そしてもうひとつは、あれだけアイドルになるために努力していた北斗くんを間近で見ていながら、髙地くんは自分に降ってきたデビューのチャンスを自らの意思で捨てたという、ある意味での残酷さと理解のなさ。
どちらの角度から見ても、何が正しかったとか間違ってたとかは、ありませんけれど。
2人の言う、「虫食いになってる」部分というのは、きっと他にもまだ沢山あって。
こういう二面性を持った事実があちこちに転がっていて、だからこそ今はまだ確かめる時期じゃないと思っているのでしょう。
さてさて、松村北斗に話を戻しましょうか。
他人の好意を突っぱねる彼は当然、孤独の世界にどっぷりと浸かり始めます。
彼自身、それで良しとしていた節もあるようですね。
自分にとって大切ではない人になんと思われようと、大事な人達が分かってくれていればそれでいい。
そういうスタンスは理解できなくもないのですが…SixTONESを結成し、アイドルグループとしてやっていくとなると多少無理があります。
一度北斗さんの自己防衛をくぐり抜け、心を開かせた人物であるジェシーは
『もっと明るくなってみれば?』
と助言しました。
このジェシーという人物は、現在のパブリックイメージとは違い、本来なら口下手でシャイな性格です。
しかし不思議なことに、人見知りの人というのは、人見知りの心を開く術を知っています。
突っぱねる北斗くんに対して、恐らくジェシーは強く踏み込んだんでしょう。
あるいは、同じようにシャイで口下手だったジェシーの変化、その強かさを横で見ていて、北斗くんの心を動かしたのかもしれません。
一筋縄でいったのかどうか、詳細は我々の知るところではありませんが、ジェシーは北斗くんの信頼を得ていました。
だからこそ、彼の助言は北斗くんにとって重みがある。
要するに、少なくともグループのメンバーは大切な存在として受け入れてみろ、ということだったのでしょう。
しかしながら、長年染み込んだ自己防衛の方法を使わずに他人を信頼するというのは、簡単な話ではありません。
癖ついた言動が無意識に出ることだってあったと思います。
冗談なのか本気なのか上手く汲み取れなかった時。
イラつきをぶつけてきた時。
自身のことを理不尽に否定された時。
特に結成後1~2年の、メンバー全員がグループに懐疑心を拭えなかった時期。
咄嗟に身を守るために相手を跳ね除ける選択をしたって、北斗くんにとってはおかしくない話です。
だってそれが彼の最善策だったから。
そして、残りの4人全員みんながみんな、以前のジェシーのように踏み込む強さを持った人というわけではありません。
距離が空く人とは空いていく。
特に髙地くん辺りは、北斗くんに心を開いてもらえる方法を知っていて、あえて距離を保った位置にいるような気がしています。
髙地くんに関してはまた別の場所で話したいと思いますが、少なくとも髙地くんの持つ“トラウマ”を挙げるとするなら、それは何かの経験ではなく、「デビューを逃して自暴自棄になり、隣にいる自分にも目を向けず閉じこもっていた北斗くん」そのものなんじゃないかと。
だから、今の北斗くんに嫌われることも恐れていて、あの頃どれだけ近づいても助けられなかった自分は、もうこの距離でいいと思っているような、そんな感じ。
ちょっと上手く言えないんですけどね。
兎にも角にも、最終的に北斗くんの心をSixTONESに繋ぎ止めたのは、グループとして残した結果と、メンバーと共に積み重ねた確かな時間なのではないかと思います。
ここまで書き連ねておいて、読む人によっては思うことがあるかもしれません。
『もっとうまく生きればいいのに』
なんていうところでしょうか。
けれど、人の気持ちなんてものは1日で変わります。
今日まで親友だった人が、明日も自分を好いていてくれる保障はどこにもないんです。
“ツンデレ”
“人見知り”
“拗らせ”
などと評されるように、
SixTONESが大好きで犬のようにメンバーに懐く北斗くんが、時折フッと思い出したように冷たく当たる時期が繰り返されるのは。
まだ彼の中で払拭できない恐怖があって、それ故の確認作業なのかもしれません。
この先、もっともっと北斗くんの抱える不安や懐疑心が少なくなって、そんな確認作業も減っていけばいいなとは思います。
ま、ここまで全部ただの憶測と妄想なんですけどね!笑
実際の真実も、彼の思ってることも我々には分かりません。
ただ、「こうだったらいいな」というお話でした。笑