髙地優吾という不明すぎる男
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おはにです。
14歳の時、医療系の仕事に就きたくて受験して入った中学校の勉強方針が心底嫌になって、何もかも投げ出して部屋に篭ったことがあります。
当時の私はあまりに勉強したくなくて、母親に泣きながら「塾を辞めたい」「物書きの仕事がしたい」と訴えました。
我ながら勝手な主張です。
幸いなことに親はすごく出来た人だったので、「貴方がやりたいことを応援する」「でも今、勉強せずにいて将来また夢が変わった時、勉強しておけば良かったと後悔してほしくない」と訥々と諭してくれまして。
何が言いたいかというと、子供の頃、どうしても嫌でやりたくないことをやらされた経験ってありますよね。
例えば、習い事だったり、マラソン大会だったり、合宿だったり。
皆さんはそういう時、どうやって乗り越えてきましたか?
さて、髙地優吾くんの話をしましょうか。
髙地くんについては、私は「自己犠牲で物事を変化させてきた人」かなと思います。
髙地くんは、最初から「アイドル」に興味があって芸能界に入った人ではありません。
もちろん、そういうバックグラウンド自体は、他のデビュー組のエピソードでもちょこちょこ聞く話かと思います。
家族や友達に勝手に履歴書を送られていた…なんてのも、割と王道じゃないでしょうか。
しかし、彼の場合はかなり特殊ですよね。
番組で公開されながらのオーディションで、何千人から選ばれた1人。
そのオーディションへの応募も友達が勝手に。
試験会場へ行くのも、当時は渋りに渋って。
それでも、好きだったサッカーの予定を置いてまで行きました。
こういう辺りに、既に彼の性格がみてとれる気がします。
一回くらいなら予定を諦めて行ってもいいか、という考えだったのでしょう。
ただ、運命というのは案外、心からそれを求めていない人の元に舞い降りるものです。
髙地くんの持つ何かが、上の人間の目に止まった。
そうして、髙地くん自身が「やりたい」と望んだわけではないのに、彼のアイドル人生はスタートしてしまいました。
そこから、他のデビュー組の話でよくあるように、お仕事を楽しいと思ったり、秀でたスキルがあったり、良き仲間に恵まれたりすれば、また違う未来があったかもしれません。
髙地くんの場合は、当時の話を振り返ってみても、ただただ巻き込まれた運命に振り回されている印象です。
そうなれば当然、アイドルとして求められることが嫌になる時期が来るでしょう。
もっとダンスを練習しなさい、“アイドルなんだから”
もっと上手に歌を歌いなさい、“アイドルなんだから”
もっと楽しそうにステージに立ちなさい、“アイドルなんだから”
でも、当時の髙地くんにとってそういったスキルは別に必要なものではないんですよね。
心のどこかで思うでしょう、「だって俺、なりたくてアイドルになったわけじゃないもん」と。
これがただの習い事なら、簡単に辞められます。
でも髙地くんが望んでいなくても、彼は既にJrでもユニットを組むような位置に置かれていて、更にバラエティ番組の枠を持って、ある程度の責任を負いながら仕事をしている立場でした。
確かにやりたくない、でも全ての責任を投げだしてまで辞めることも、出来なかった人なのです。
しかしながら、この髙地くんの苦しみは、なかなか周囲に分かってもらえるものでもありません。
何故なら、彼の周りの多くは、髙地くんが持て余しているそのお仕事が欲しくて欲しくて、沢山の努力をしていて。
また別の種類の苦しみにもがいている人達だからです。
特に最初のユニットで、中島健人くんや松村北斗くんはそういった側の人間だったと思います。
髙地くんから見れば、ユニットに選ばれるような魅力を持ちながら夢の為に努力する彼らはキラキラしていたでしょう。
それと同時に、恵まれすぎている自分の立場に多少の負い目もあった。
だからこそ、その後、正体の分からないユニットの話が出た時、髙地くんは「俺はなしでいいよ」と言います。言えてしまうのです。
あの時点で北斗くんを1人残してデビューしてしまったとしても、SexyZoneというグループだけで考えれば、スキルも経験も足りないメンバーは他にもいましたし、さして大きな問題はありません。
(もちろん、年上年下組、衣装分け事件等、様々に困難があったのは承知ですが)
しかしそうなると、髙地くんはその先もずっと、北斗くんを始めとした“アイドルになりたくてもなれなかった子達“に申し訳なさを感じ続けながら仕事をすることになります。
そしてなにより、本人も言っていたように、北斗くんを「ほうっておけなかった」。
自分が望まないチャンスを手にするくらいなら、それを失ってでも北斗くんを1人にしたくない。
髙地くんは当時の己の需要を代償にして、北斗くんをすくいあげる為の時間を手にします。
この時のジャニーさんの考えは全く知る由もありませんが、時折聞くエピソードでもあるように、この方はよく
『○○と○○がいて、なんでここに△△がいないんだよ!?』
というような発言をされます。
そうやって引き連れられたメンバーが、以降のグループに加入していたりもして。
おそらく決められたユニットやグループとはまた違う、謎の枠組みがジャニーさんの中であるんでしょうが、そういった枠組みの話で言えば、当時SexyZoneのメンバー候補に北斗くんは入っていませんでした。
しかし、北斗くんという人間を中心にして考えたとき、その枠組みに髙地くんを入れることは出来たのだと思います。
ただそれはあくまで“友達”あるいは“相性のいい子”という表現でしか語られていない。
グループのメンバーとして…となると、悩みどころです。
バカレア組に髙地くんが放り込まれたのも、ジャニーさんの謎の枠組みによる計らいだったかもしれません。
真実は、分かりませんが。
とにかくそういった経緯で、髙地くんは北斗くんの知らないところでチャンスを一度蹴り、自暴自棄になった北斗くんを引き揚げようとします。
しかしこれは、髙地くんの人となりを考えれば相当難しい作業です。
髙地優吾という人物は、「受け止める力」に対人能力のほぼ全てを振っているくらい、受容することに関しては相当長けています。
逆に言えば、自分から相手に施すことが出来ないということです。
かつての負い目から、自分の苦しみが周りにとってどれだけ贅沢なものか、自分の小さな言動でどれだけの人を嫌な気持ちにさせるか、分かっていたからこそ。
軽い気持ちで手を差し伸べても、侮辱にしかならないことを心得ていたからこそ。
自分からは何もしないけれど、求められれば応えられる限り応える、というスタンスが出来上がったのではないかと思います。
彼のそういったスタンスは、以前記事にも少しだけ書いたように、北斗くんのようなタイプと距離を縮めるには相当大きな壁となります。
さらにバカレア組解体を経た頃には、北斗くんの中に「髙地くんと一緒にいて失敗したトラウマ」が出来上がっていました。
結局、北斗くんが本当に前を向いたきっかけはジェシーや樹を始めとした、髙地くん以外の人達です。
つまり、髙地くんの「自己犠牲」をもってしても、どうにも物事を動かせなかったのが北斗くんなのです。
すくいあげてやるどころか見守ることしかできず、自分との思い出をトラウマにさせてしまった。
そんな北斗くんそのものが、髙地くんにとっては逆にトラウマとなっている気がします。
そんな髙地くんが、今度こそ本気で守ろうとしている居場所。
SixTONESというグループは、それだけでも大きな価値があるように思います。
実際、今では定番のいじられキャラも、本来の髙地くんの性格とは違うはずなのに、それをキャラクターとして担っていたりしますね。
また、髙地くんの特徴としてよく挙げられる「聞き上手」「精神安定剤」「支柱」という言葉も、恐らく彼が意識的にそういった役割を引き受けているからでしょう。
先程書いた「受け入れる力」も、SixTONESのなかで大きな支えになっているようですね。
髙地くんはそういった、周りに合わせて自分で自分を変える努力が上手です。
そして、周りが苦しい思いをしないために努力するのであれば、それがどれだけ大変なことでも、自分にとって負担でもかまわないと思っている節があります。
傍目から見ても彼のそういった面は際立っていて、引き受けたものの皺寄せは一体どこへいっているのか疑問に思うくらいです。
これが髙地優吾の魅力のひとつでもあって、知れば知るほど摩訶不思議で、分かりやすいようで見えない部分が多い彼は、一度惹き込まれると目が離せなくなる。
とにかく不思議な人で、どう考えても一般人とはほど遠い。
それなのに、本人はケロッとした顔で「庶民派」「俺が1番普通」と言ってのけます。
もはや怖いですね。
SixTONESの一般人基準、誰か叩き直してきてもらっていいですか?
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